2013年9月25日水曜日

[四阿山・根子岳]開放のひとりハイク

2013年9月12日木曜日
群馬・長野県境の、四阿山と根子岳へ


浅間山を登ってから三日。群馬にいるのに、山に一つしか行かないのはもったいない!ってことで、四阿へ。

この四阿山、嬬恋村までいかないと姿を見ることができず、ほかの山と連なっており確認しにくいこともあり、浅間山ほど身近であったわけではない。しかし、その名前には昔からなじみがあり、百名山に入っていて、なにより自宅から車で一時間…。これはいくしかない!

今回は、単独行
マイカーで登山口・菅平牧場へ


朝4時頃、自宅を出発。
5時過ぎには、登山口のある菅平牧場へ。
心配していた天気も、気づけばきれいな朝焼けを見せてくれていた。

ここで、親に、無事登山口到着の連絡をいれ、登山届を書き、出発。
牛に眺められながら、アスファルトの道を進む。牛にしたら、わざわざ山に入っていく人間を理解できないのかもしれないなぁ…。
牧場沿いの道

登山道に入ってすぐは、気持ち良い森林浴…(ブレた…)
 
森の中の道をしばらく行くと、白樺が多くなっていき、シラカバ林に。そして、だんだんと高い木がなくなっていき、稜線にでる。左側には、その昔火山だった根子岳が、独特の景観を作っている。振り返ると、菅平高原と山々。本当であれば北アルプスものぞめるはずなのだが、この日はみえなかった。高原の風が、樹林帯の坂でかいた汗に気持ちいい。

シラカバの上から、遠くが見えた

稜線 いくつも小ピークがあり、その度に、ふりかえってたたずんでしまう

根子岳 独特の風景
 
稜線のあとは、四阿山のピークを上に、再び林の中へ。

道中のリンドウ咲き乱れる笹原
 
根子岳への分岐を通過し、約10分で四阿山山頂に到着。スタート地点でも見かけた、登山客が数人。自分と同じような、男性のソロハイカーばかりだった。男ひとりでぶらりと休日散歩。そんなときには、静かで開放感を満喫できる、ぴったりの山かもしれない。



山頂の標 日本武尊が「吾(我)が妻よ」と妻を恋しくうたったという説もある。吾妻郡の嬬恋村なので、それも有力な説だと思う。ロマンチックな場所でしょ?

浅間山方面 まるでうさぎの形のような田代湖が光る。
この日は大気中の水分が多くあまりはっきりしない展望。

これから行く、根子岳
 
四阿山頂から分岐に戻り、根子岳へ。根子岳に登り始める地点まで四阿山山腹を一気に下りなければならない。しかしこの道は木の根が一面張り出しており、岩が露出し、おまけに先日の雨で、どこに足をついても滑りそう…という、きつい道だった。四阿山頂と根子岳山頂で二回出会ったハイカーは、この道で二回も転んだという。
つるつる、てかてか、ぐちょぐちょ、きらきら
 
やっとのことでおりきった。そこからが、今回の一番のメインのポイントといってもよい、根子岳への一面笹原の、超開放みち。


笹原を吹き抜ける風が心地よい…
 
登り切って、いくつかの岩の先に、根子岳の山頂がある。広い山頂に、小さなお社が一つ。あいにく雲がかかってきていた。雲の切れ間の光がやけに明るく感じられる。




山頂でリンゴをかじる。だって、うちにあったんだもの。
 
やはり北アルプスも、妙高・火打も、ほとんどみえなかった。それでも少し冷たい風に吹かれながら、頂を味わうことができた。晴れていなくてもよかった。晴れていたらそれはそれでよかった。曇りをあまり残念に思わなかった。
あとは、ここからは、スタート地点へまっすぐ下るだけ。
 
下り始めて、中学生の一団とすれ違った。みんないろんなことを言いながら、女子でまとまって話して叫んで、愚痴を言いながら、男子でまとまって大声で楽しそうにしながら、中学生らしい挨拶をしてくれながら、登って行った。
その後、園児さんたちの一団も登って行った。小さな体で、それでも登ることに嫌そうな顔もせず、もくもくと、かわいい挨拶をしてくれながら登って行った。
彼らのこの登山が、友だちみんなと一緒に登った、楽しい楽しい思い出になったらいいなと、心の底から思った。
そして、晴れてきた。きっとみんな最高の山頂を堪能したでしょう。
 
僕が再びシラカバ林に入ったころ、空はすっかり青空になっていた。シラカバの合間からさす陽光が気持ちよく光る。いい散歩。


何度も立ち止まってしまう。時間かかった。


振り返れば根子岳。奥に、四阿山。
 
そして、菅平牧場に到着。青空のもとの下山というのも、またいい。登山靴を脱ぐのがとても気持ちよく感じる。牧場の牛乳も飲みました。
 
 
四阿山、特にこれといってきつい場面はないが、じわじわと疲労がたまる。それがまた心地よい。とても歩きやすく、いいお山だった。
 
自宅と菅平牧場の往復は、自分で車を運転してのドライブ。峠道を一人でドライブするのもまた楽しみの一つだった。(親は心配していたが…)
 
実家帰省山行、第二弾!
今回は最初から最後まで一人での行程。一人で山に行くと、気軽さと危うさと開放感と一抹の寂しさがいつも胸にくる。これが、自由であることの感覚に近いのかな。一人でしか感じられないこともある。
また、群馬、長野、新潟あたりの山に、まるでいつもの散歩のように、たくさん行きたいな。

[浅間山]いつも見ていた山体へ

2013年9月9日月曜日
浅間山へ

実家に帰省して一週間。台風や秋雨前線のおかげで天気が悪い日が続いていたが、やっとのチャンス到来。自宅から車ですぐの、浅間山へ向かった。

浅間山は、昔から特に身近だった山。小学校の窓から、北軽井沢から、佐久から、いつものスキー場から、いつもの散歩道から、二時間車で行った前橋の田んぼから、いつもその姿を見ていた。独立峰であり、関東平野の奥にたたずむ、少し丸みのある円錐形の浅間山。外輪山が大きな肩をつくっていて存在感が増している。冬になると、白く雪化粧をして、一層美しくなる。
そんな山に登る今回、なぜか初めての山という感じが少なかったのは、今まで身近だったことの表れだったのだろうか。

今回は、父親が、わざわざ仕事を休んでくれて同行。以下の写真に写っているのは、40代半ば、数年ぶりの浅間山に来た父親。


朝4時頃、自宅を出発、
5時頃には、浅間山の西側、高峰高原ホテルの駐車場に到着。

駐車場についたときには、日の出が近づき、うっすらとあかるくなっていた。駐車場の南側にはいきなり雲海が待っていた。雲海を見ながら、準備をするという、贅沢なスタート。

スタート後も、右手に木々の合間に雲海を見ながら登っていく。

背後、遠くには、北アルプスが、姿を見せていて、槍も穂高もよくみえた。同じ日に、白馬岳に入った友達がいたことを思い出し、2000m超えの大気を挟んでお互いの姿が見えそうだった。

避難小屋まできてすぐ、目の前が一気に開ける。そして、昇ったばかりの、強くて痛い光を突き刺してくるような太陽をバックに、どこか丸くてふてぶてしいような、でも親しみやすさを含んだ、浅間山の姿が現れた。

ここでいう浅間山は、外輪山の内側、前掛山から現在の火口まで
 
その後、すぐに、トーミの頭に到着。外輪山の内側は、内側にえぐれているように感じるほどの急な坂である。それがまた、独特の、崖と緑と岩の景色を作り出していた。
 
 
そこから外輪山にそって、浅間山の火口を右手にぐるっとまわりこむ。

外輪山一つ目のピーク、黒斑山 そこからのぞむ火口方面
蛇骨岳 奥は嬬恋村方面 広がっているのは田んぼではなく、嬬恋村名産のキャベツ畑
蛇骨岳から仙人岳への道 八ヶ岳の横岳や赤岳を彷彿させる
仙人岳 山の向こう、小諸・佐久方面には、まだ雲海が
 
空は青く突き抜けていた いつも山の上で晴れた空を見ると、宇宙がすぐ近くに、その間にはただ距離があるだけなんだ、と感じる
 
外輪山をまわった後は、Jバンドと呼ばれるポイントをとおって外輪山の内側へとおりる。崖を一気に下る。

Jバンドへ
 
崖の下、外輪山の内側は、不思議な空間。高い木々はなく、低い木とうっすらと生える緑、時々現れる大きな岩に砂利道。まるで、海外のトレイルのようだった。下りてきた崖を見上げる。通ってきた外輪山を見上げる。これから上る火口を見上げる。とても穏やかな時間が流れているようだった。


 
 
この平らな道を進むと分岐にあたる。そこからついに、浅間山の本体へ、前掛山へのぼり始める。きれいな丸い山体を、ゆっくり回り込むように、そして確実に高度をあげていく。
後ろからは、今までとおってきた外輪山が、のぼっていく人たちの背中を見守っていた。
見上げると、空に火口からのぼる火山の煙がかかる。山がいまも生きていることをリアルに感じさせる。
 



登りきると、そこは岩だらけ。避難小屋が二つ。そして、前掛山への道がのびている。


前掛山のすぐ内側は、今も活動を続ける浅間山の火口。ほかの山にはない、不思議なリアルさがあった。
前掛山内側の斜面
今回の最高地点 前掛山 山頂
火口はあまりに近く大きく、カメラに収まらない…
 
その後、小屋まで戻って、昼食。やはり、高い地点の風の中で飲むカフェオレはおいしいのです。このためにわざわざガスまで持ってきた(笑)。
 
 
その後、同じ道を戻り、再び外輪山の内側へ。そして分岐をもときた方向ではなく、直進。外輪山の崖を真ん前にむかえるように歩いていく。そして、その崖を一気急登。このルートは「草すべり」と呼ばれている。確かに、草の茂、気持ち良い斜面ではある。それを見ている余裕があれば、の話だが。
この斜面を急登し外輪山上に戻る

振り返れば、浅間が…
 
なんとか草すべりを通過し、トーミの頭についたころ、雲がかかり視界がなくなった。いいタイミングだった。
そこからは一時間ちょっとの下り、出発地点の高峰高原ホテルへ。


ニホンカモシカのものと思われる足跡が、下山の道に沿うように続いていた
 
 
今回の行程は、歩行時間約10時間ほどの予定で厳しいかと思われたが、実際にはエアリアのタイムよりも短くいけることがほとんどであった。
 
高峰高原ホテルをはじめ、周辺には日帰り温泉も多数あるので、帰り道に温泉に立ち寄ることも簡単。今回は、嬬恋村の国道沿いのつつじの湯へ。ぬるめのお湯が長風呂を誘う。

この台風・秋雨の季節に、一日ほとんど晴れていて、日焼けしてしまうほどの天気に恵まれたことは、とても幸運だった。今まで遠くから見ていた独特の山体を実際に足の下にして歩いた経験はこれからこの山を見かけるたびに思い出すだろうと思う。そして、やっともっとも昔から親しんできた山を登ることができ、これが自分の登山の本当の始まりになるのだろうという感じもある。
 
日本は山が多い。きっと多くの人が故郷の山を持っているのだと思う。それが百名山であろうと、登山道がなかろうと、登ってみることは、きっととても新鮮なそれでいて達成感が大きい経験になるのではないかな、とおもう。